「テンポ走(=閾値走)」という練習を聞いたことがありますか?
これはジョギングと組み合わせて走力を高めるシンプルなスピード練習で、
中にはジョギングと閾値走だけでフルマラソン3時間切り(サブ3)を達成したというランナーもいるほど。
私自身も定期的に取り入れることで、5kmのタイムが縮まったり、フルマラソンを以前より楽に走れるようになったと実感しています。
一見ハードそうに思えるかもしれませんが、ペースを調整すれば初心者でも取り組めるのが大きな魅力です。
実践にはランニングウォッチやランニングアプリを入れたスマホなど、ペースを確認できるツールがあると安心。
スピード持久力を養い、レース後半までしっかり走れる力をつけたいなら、ぜひ試してみてほしい練習です。
テンポ走(閾値走)とは?

テンポ走(閾値走)は、「乳酸がたまる手前のペース」で一定時間走る練習です。
「閾値(いきち)」とは、体が疲れを強く感じ始める境界ラインのこと。
このラインの少し手前、**“ややきついけどまだ余裕がある”**と感じるペースを維持して走るのが特徴です。
もう少し分かりやすく言うと、
- 息は弾むけれど、短い言葉なら会話できる程度
- ジョギングより速いけれど、全力疾走ではない
そんなスピードを目安に走ります。
なぜこの強度?
この強度で走ると、体は乳酸(疲労の原因となる物質)を処理しながら運動を続けようとするため、
**「スピード持久力」**が自然と鍛えられます。
結果として、レース後半まで一定のペースを保てる力や、スピードを維持したまま長く走れる体が作られていきます。
ハードに見えるが初心者にも可能
一見ハードな印象がありますが、自分に合ったペースを見つければ初心者でも挑戦可能。
レースでのタイムアップを狙う中級者だけでなく、
「最近タイムが伸び悩んでいる」「長く走れるけどスピードが足りない」というランナーにも効果的な練習です。
テンポ走(閾値走)で得られる主な効果

得られる主な効果
テンポ走(閾値走)を定期的に取り入れることで、ランナーにうれしい3つの大きな効果が期待できます。
- スピード持久力が向上
**「この速さなら20分くらいは走り切れそう」**と感じるペースで走り続けることで、
レース後半でもペースを崩さず走り切る力がつきます。 - 心肺機能が強化される
ジョギングより少し速いペースを20分キープすることで、心臓や肺が効率よく働くようになり、長い距離が楽に感じられます。 - レースペース感覚が身につく
一定のスピードをキープする練習を重ねることで、体が自然とレースペースを覚え、
目標タイムを狙いやすくなります。
💡 筆者メモ
私も週1回のテンポ走を数ヶ月続けたことで、練習中に目標にしていた5kmのタイム20分切りを達成したり、
フルマラソンでも後半の失速が明らかに減りました。
特別なメニューを増やさなくても、週1回の習慣だけで走力が一段レベルアップするのを実感しています。
初心者でも始めやすい理由
テンポ走(閾値走)は一見ハードそうに聞こえますが、実は初心者こそ取り入れやすい練習です。
理由はシンプルで、難しいテクニックや特別なコースは必要ありません。
- 「ジョギング → テンポ走 → ジョギング」という流れ
走り始めに軽くジョギングで体を温め、本番のテンポ走を行い、最後にまたジョギングでクールダウン。
この3ステップだけで完結するので、練習メニューが複雑になりません。 - ペースを自分のレベルに合わせやすい
テンポ走の目安は「この速さなら20分くらい走り切れそう」と感じるスピード。
ジョギングより少し速く、「ちょっと速いかな?」と思うくらいが目安なので、レース経験がなくても取り組めます。 - 距離や時間を短く設定しても効果がある
初心者なら15〜20分、3〜5km程度からでも十分にトレーニング効果があります。
まずは「少し速めのジョギングを20分だけ」と考えると、気軽に始められます。 - 現在の走力チェックにもなる
テンポ走を20分続けることで、**「今の自分が20分でどのくらい走れるか」**が自然に分かります。
数週間後に同じメニューを試すと、距離やタイムの伸びがはっきり見えて、成長を実感できるのも魅力です。
このように、自分の体調や走力に合わせて距離・時間を調整でき、
さらに練習そのものが“力試し”にもなるのがテンポ走の大きなメリットです。
💡実践アドバイス
初めて挑戦するときは、ペースや距離にこだわりすぎず、
「ジョギングよりちょっと速く走る時間を作る」くらいの気持ちでOK。
ランニングウォッチやアプリでペースを確認できれば、タイムの変化を記録して楽しめます。
実践方法:ペース・時間・距離の目安
テンポ走(閾値走)は20〜30分程度を目安に、
「ややきついけどギリギリ維持できるペース」で走るのが基本です。
これは乳酸がたまる手前の負荷を安全に維持できる時間がそのくらいだからで、
初心者はまず15〜20分から始め、慣れてきたら25〜30分へと延ばしていくと無理なく続けられます。
🏃♀️テンポ走(閾値走)目安ペース表
10kmレースタイム | フルマラソン目安 | テンポ走ペース(1kmあたり) | 目安:普段のジョギングより |
---|---|---|---|
60分(6:00/km) | 4時間30分前後 | 5:40~5:20/km | 約 −20〜−40秒/km(少し速め) |
55分(5:30/km) | 4時間00分前後 | 5:10=5:00/km | 約 −20〜−30秒/km |
50分(5:00/km) | 3時間45分前後 | 4:40~4:20/km | 約 −20〜−40秒/km |
45分(4:30/km) | 3時間30分前後 | 4:10~4:00/km | 約 −20〜−30秒/km |
40分(4:00/km) | 3時間15分前後 | 4:00~3:40/km | 約 −20〜−40秒/km |
※あくまで目安です。暑い日や疲労がある場合は+10〜20秒/kmゆとりを持たせてOK。
※心拍計がない場合は「息が弾むけど短い言葉なら話せる」感覚を優先しましょう。
私の場合、テンポ走は設定した距離や時間をギリギリ走り切れるタイムで走ってしまうことがよくあります。
つい目一杯頑張ってしまうランナーも多いと思いますが、ケガをしない程度であればそれも一つの刺激として悪くありません。
ただし疲労が抜けにくい時期や暑い日は無理をせず、「少し余裕がある」感覚を優先するのが長く続けるコツです。
実践ステップ例
- ウォームアップ:動的ストレッチ+ジョギング10〜15分
- テンポ走本体:目安ペースで20〜30分(初心者は15分から)
- クールダウン:ジョギング5〜10分+軽いストレッチ
この流れを基本に、週1回からスタートすれば、
スピード持久力を高めつつケガのリスクを抑えて効果的に走力アップが狙えます。
注意点と失敗しやすいケース

テンポ走は気持ちよく“きつい”練習です。前日にスピード練習や長距離の疲れが残っていると、設定ペースを保ちづらくなります。疲労が強い日は無理せず、疲れが少ない日に実施しましょう。
- 速すぎるペースで入って失速する
「今日は調子がいい」と思って最初から飛ばしすぎると、途中でペースを維持できなくなり、練習効果が下がってしまいます。 - 距離や時間を欲張る
設定より長く走りすぎると疲労が抜けにくく、次の練習にも影響します。 - 疲労が抜けない状態で実施する
前日にスピード練習をしていたり、脚に張りがあるときは特に要注意。
疲労がたまっていると、テンポ走本来の「気持ちよく負荷をかける」状態が作れません。
💡 筆者メモ
私も走っていて「このまま行ったら前回のタイムを更新できる」と思い、
つい頑張りすぎてしまうことがありました。(常に5kmのタイムトライアルになってキツい!けど達成感もある変な感覚)しかし、設定タイムが楽に感じられるようになるまでは焦らずに同じタイムを繰り返すことをおすすめします。
無理に更新を狙わず、余裕を持って走れる状態を積み重ねることが、結果的に一番の近道です。
具体的なやり方と練習メニュー例

テンポ走(閾値走)は、まず20分間をしっかり走り切ることを基本に考えると分かりやすく、
初心者から上級者まで取り入れやすい練習です。
20分という時間は乳酸がたまる手前の負荷を効率よく刺激でき、
走力に関わらず同じ効果を得やすい“ゴール設定”として世界的にも広く使われています。
ここではレベル別に取り組みやすいメニューを紹介します。
🔰初心者向け:まずは“20分間or5kmのテンポ走”
- ウォームアップ:ジョギング10〜15分(約1.5〜2km)+動的ストレッチ
- テンポ走本体:20分(約3〜5km)
※「この速さなら20分走り切れそう」と感じるペースを目安に - クールダウン:ジョギング5〜10分(約1〜1.5km)+軽いストレッチ
👉 ポイント
まずは20分間を一定ペースで走り切ることだけに集中。
ジョギングより少し速いと感じるペースで、同じタイムを余裕を持って走れるようになるまで繰り返しましょう。
⚡中級者向け:持久力を伸ばすメニュー
- 30分間テンポ走
フルマラソンペース−10秒/kmを目安に、30分間ペースを維持 - 5km × 2本(間にジョグ3分)
1本ごとに少し余裕を残すペースで、スピード持久力を強化
👉 ポイント
週1回を目安に、前日にはスピード練習を入れないよう調整すると疲労をためにくく、練習効果も高まります。
🗓️ 週1回テンポ走の組み合わせ例
曜日 | 内容 |
---|---|
月 | 軽いジョグ |
火 | ジョギング |
水 | スピード練習(ビルドアップ・インターバル・テンポ) |
木 | 休養 |
金 | 軽いジョグ |
土 | ジョギングまたはLSD |
日 | 休養 |
余裕が出たら、水=テンポ走、金=ビルドアップ など週2本体制も可。ただし前日にスピード系を入れない配置
👉 ポイント
テンポ走の翌日はジョギングや休養で体を回復させ、疲労を残さないことが継続のコツです。
💡 筆者メモ
まとめ
テンポ走(閾値走)は、20分間を一定ペースで走り切るシンプルな練習です。
「ジョギングより少し速いかな?」と思うペースを見つけて、
週1回から取り入れるだけでも、スピード持久力の向上・心肺機能の強化・レースペース感覚の習得など
ランナーに必要な力をバランスよく伸ばせます。
最初から距離やタイムを欲張る必要はありません。
同じ設定タイムを余裕を持って走れるようになるまで繰り返すことで、
自然と走力が上がり、気づけばレース後半が楽になるのを実感できるはずです。
まずは今日、ウォームアップをして20分だけ走る――
そこから、あなたのランニングは確実に次のステージへ進みます。
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